労働力不足解消のカギ?「求められるシニア層」に必須なのはICTリテラシー

労働力不足解消のカギ?「求められるシニア層」に必須なのはICTリテラシー

世界でも類を見ないスピードで高齢社会に突入している日本。労働者の高年齢化も急速に進む中、同時に問題となっているのが、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。企業や経営者にとって人材確保は、会社存続に関わる重要な問題。その解決策の一つがシニア層の積極的な活用です。人材を採用したい企業側、働く環境を求めているシニア側、両者のニーズは一致しているにもかかわらず、なかなか雇用が促進されない状況にあります。
そこで今回は、シニア層の雇用問題に焦点を当て、企業とシニア層の両者が抱える問題について考察するとともに、雇用促進の一助となる助成金・補助金に関する情報を紹介します。

働き続けたいシニア層の再就職でネックとなるのがICTリテラシー

少子高齢化によって国内の労働人口が減少し続けることが予想されています。その解決策の一つとして、外国人労働者の積極的な雇用が挙げられます。しかし現実的には一部の業種・職種に限定された雇用が多く、現時点ではとても解決策とは言えません。将来的にはAIやロボットの活用が期待されてはいますが、オートメーション化された工場などは別にして一般的な普及はまだまだ先の話。やはり、“人”の力と知恵が必要なのです。
そこで期待されているのが、シニア人材の活用です。

【シニア層の労働に関する意識調査の結果】

シニア層の労働に関する意識調査の結果

内閣府の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(2013年)によると、【何歳まで働きたいか】というアンケートに対して、『働けるうちはいつまでも働きたい』を含む65歳以降の合計が約66%に上りました。その理由は一つではないでしょう。
例えば、年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられることもあり、生活のために働き続ける必要がある人。あるいは、生きがいのため、社会生活の中での存在感を維持したいことを目的とする人。いずれのケースでも、働く意欲や体力は十分にある。要は、その能力を発揮する場所と機会が必要なのです。

そんなシニア層が再就職にあたってネックとなっていることとは何なのでしょうか。例えば、技術職だった人ならば専門性を生かして同業他社への就職がしやすいかもしれません。長年培った技術は大きな武器となります。しかし、難しいのは一般職として会社員を全うした人たち。さらに言うならば、PCスキルやスマホに関するリテラシーの低い人たちの前に大きな壁が立ちはだかっていると言えるでしょう。
オフィスワーカーとして勤務するならば、最低限のPCスキルは必須です。エクセルやワードなどMicrosoft Office365のアプリケーションを使えるのはもちろんのこと、コロナ禍を機にオンライン会議で使用するコミュニケーション・ツールの必要性も高まっています。採用面接をオンラインで実施する企業も増えているので、ITリテラシーの低い人にとってZoomなどのオンラインツールを使えるようになることが、再就職への第一歩と言えるかもしれません。
さらに、運送業界や建築業界では業務にスマホやタブレットを活用しているケースが多く、スマホのリテラシーの低さが再就職への壁になっているケースも少なくないようです。

助成金・補助金の活用がシニア層の採用・雇用を活性化させる?

現在、政府から企業に対して、「定年制度の撤廃」「65歳以上への定年引き上げ」「希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入」「他社による継続雇用制度の導入」が求められています。しかし、現時点では強制力はなく協力要請のレベルに過ぎません。また、実際には多くの企業がシニア層の雇用、働く環境づくりに苦慮しているのが現実です。
とは言うものの、さらに深刻化する労働力不足に対応するため、企業としては豊富なシニア人材を活用せざるをえないのも、また現実なのです。
ところが多くの企業がシニア層の採用になかなか踏み切れずにいます。会社の規模、業種・職種によって事情は異なると思いますが、大きなネックとなっているのは採用・雇用に伴う資金ではないでしょうか。
意外と知られていませんが、政府ではその解決に向けて、中高齢者の採用・雇用・継続雇用を行う企業に対して、さまざまな助成金・補助金を用意しているのです。

■中高齢者を雇用した際にもらえる助成金

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定求職者困難コース)
  • 特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
  • 労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)
  • 中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)

■中高齢者の雇用条件等を改善した際にもらえる助成金

  • 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)
  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)
  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
  • エイジフレンドリー補助金

※高年齢者は55歳以上、中高年齢者は45歳以上

各助成金・補助金の詳細については割愛しますが、企業には助成金・補助金をシニア層の雇用に対するメリットと捉えていただき、採用の促進を願うばかりです。
一方、シニア層はこれまでの経験にばかり依存せず、職務に必要な知識や技術、特にPCやスマホのリテラシー向上に努めることが再就職のチャンスにつながっていくのではないでしょうか。そのためにはシニア層のデジタルデバイド解消に向けた取り組みが必要になるはず。これまでシニア層向けにスマホ講座を展開してきた女子部JAPANが、その一助として貢献できるのではないかと考えています。

(株式会社都恋堂 小林 保/
「高齢社会エキスパート/総合」認定)

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